東京県民に固有な23コミュニティが<東京>県民スタイルを特定するコミュニティであり、6系から構成される。
第1に、東京県民にとって上京し最も興味があるのは<おいしい東京の遊び方>である。「東京のカフェ」のオシャレな雰囲気を味わうのみならず、「夜カフェ@東京」で真夜中も息づく深夜のカフェ遊びも嗜む。もちろん「隠れ家レストラン」で楽しむことも「酒好き」の東京県民には自明の魅力だろう。加えて「東京の休日を楽しむ1000の方法」を全てこなしてしまう勢いの東京県民は、せっかくの東京を楽しむことに大忙しだが、そのような楽しみを通じて東京に生きる自分の意味を実感している。『これで、やっと東京人になった』と自己承認するのが<おいしい東京の遊び方>である。
第2に、東京県民は生活者でもあるため<一人暮らしの楽しみ方>に敏感である。上京し「ひとりぐらし」をこなすには「学生の一人暮らしレシピ」が欠かせない。また、簡単に引っ越すわけではなくとも「間取り図大好き」で、将来都心に住む家を想像しては夢を膨らませる。しかし現実はワンルームでの一人暮らしなので、そんな彼らの強い味方は「サッカー日本代表」の中継やiPodなのだ。たとえ部屋で一人、お手軽料理を食べながら見るサッカー中継でも、みんなとtwitterでおしゃべりをすれば孤独は解消される。そして普段は「iPod User’s」な彼らにとって、音楽は誰よりも身近な友達なのだ。
第3に、一人暮らしにとって<自宅での暇つぶし方>のマスターは必須である。彼らは退屈なテレビに身を任せないので、常に「笑える画像」はないかと「おもしろ画像コミュニティ」で探し続ける。「ショートカットキー」に詳しいのも、ひとりでPCに向かっての暇つぶしが上手であるためなのだ。
第4に、東京県民は<ちょっとした癒され方>を知らないといけない。「海が好き」で「星空好き」なのは故郷と繋がっているからなのか、彼らは、そうすることで自分を自然に癒している。加えて「ことばのくすり-心に効く名言集-」のような自分だけに大切な言葉を心に携えてちょっとした時に癒されている。
第5に、食の他にも東京で楽しむべきことは数多くあり、その中でも<東京文化の楽しみ方>は東京県民にとって大きな関心事である。「美術館・博物館・展示情報」のチェックは怠らず、何か適当なものがあれば足を運び、夜になればカフェで友人らと展示物について歓談する、そんなスマートなスタイルが想像できる。
最後に、東京県民にとって、東京は上京先であると同時に故郷と同様に脱出したい場なのかもしれない。それを表しているのが<東京脱出の方法>である。もはや日常の生活空間でしかない東京は、カフェや美術館できらびやかに遊ぶ場である以上に、地道に一人暮らしをする場である。とすれば、その日常性からの離脱を夢見ることも当然の成り行きである。一方でやはり、東京は東京県民にとって永遠に憧れの場であり、それが日常性と矛盾する虚しい期待であることは分かっているので、夢としての東京脱出を思考する。
このように、東京県民に固有な特性は6系から構成されている。まず、<東京文化の楽しみ方>と<東京脱出の方法>の2系が<おいしい東京の遊び方>に繋がっている。東京にいるからには<東京文化の楽しみ方>や<おいしい東京の遊び方>の情報を収集し、休みがくれば外へ出かけて楽しむことが、東京県民の東京の楽しみ方のスタンダードである。一方で憧れの地としての東京が生活の地となった今、どこか他の場所への<東京脱出の方法>も押さえておく。このように<東京>県民スタイルの1つの核に、<おいしい東京の遊び方>を中心とした生活外に向かうスタイルがある。これを外系スタイルと呼ぶ。
次に、<自宅での暇つぶし方>が<一人暮らしの楽しみ方>に結合している。状況による一人暮らしの生活をいかに楽しむか、東京県民の生活への関心の高さがこの2系から窺える。そのとき彼らは、ただ淡々と一人暮らしをこなすのではない。ネットワークの力を駆使して、一人暮らしを楽しみ、時には暇をつぶすことに余念がない。退屈な日々を過ごすための状況ではない、という考えが、東京での家の内での生活に対する積極的な情報収集態度を作り出している。これを内系スタイルと呼ぶ。
このように、<東京>県民に固有な特性は、<おいしい東京の遊び方>を中心とした外系スタイルと<一人暮らしの楽しみ方>を中心とした内系スタイルから構成される。さらに、これら2スタイルは互いに支持し合っており、加えて<ちょっとした癒され方>がマージナルな存在として両スタイルに連関しており、つなぎの役目を果たしている。